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化学

2025.07.15

水に溶けるフラーレン誘導体で电解质膜寿命を10倍  燃料电池の革新的耐久性向上技術を開発

【研究概要】

?独自に开発した水溶性フラーレン注1)誘導体を燃料电池用电解质膜中に分散し、活性酸素による膜の劣化を大幅に抑制。
?フラーレンのラジカル捕捉能とセリウム(颁别)イオン注2)の相乗効果で耐久性を约10倍に向上。フッ化物イオン排出量も90%以上低减。
?水素社会の中核を担う燃料电池の耐久性を大幅に引き上げ、その用途を大型トラック、船舶、鉄道、建機などへの多用途展開に貢献する成果。

 

黑料网大学院工学研究科および未来社会创造机构マテリアルイノベーション研究所の松尾 豊 教授、川角 昌弥 特任教授らの研究グループは、独自に開発した水に溶けるフラーレン誘導体を用い、プロトン交換膜型燃料电池(PEMFC)注3)の心臓部である高分子电解质膜の耐久性を劇的に改善する技術を開発しました。
フラーレンは強力なラジカル消去能を持ちますが、水や电解质膜との相性が悪く膜中で凝集してしまい、実用化には課題がありました。本研究では、ヒドロキシ基やカルボキシ基を特定の位置に導入した新規フラーレン誘導体を合成し、ナフィオン注4)电解质膜中に均一分散させることに成功しました。
これらのフラーレン誘導体はラジカルクエンチ能により単独でも电解质膜の分解を抑制しますが、さらに微量のセリウムイオンをキレート注5)配位させることで、耐久性が飞跃的に向上しました。膜の分解指标であるフッ化物イオンの放出量は、フェントン试験注6)において従来膜の10分の1以下となりました。高温?高電位保持条件下での加速的な耐久試験において、燃料电池の動作寿命は100時間から最大1050時間へと10倍以上に延伸され、排出水中のフッ化物イオンの排出速度は、フラーレン誘導体未添加膜と比較して1/50になりました。
本研究の成果は、水素エネルギー社会の実現に向けて鍵となる燃料电池の耐久性向上と、より長期間の耐久性が要求される大型トラック、船舶、鉄道、建機などへの多用途展開に貢献するものです。さらに、水に溶けるフラーレン誘導体を用いたラジカル制御技術は、燃料电池材料に限らず、膜分離、触媒、医療材料など広範な分野への応用も期待されます。
本研究成果は、2025年7月14日18時(日本時間)付の英国Natureグループの材料科学専門誌『Communications Materials』オンライン版に掲載されました。

 

 

◆详细(プレスリリース本文)はこちら

 

 

【用语説明】

注1)フラーレン(贵耻濒濒别谤别苍别):
炭素原子のみで构成されるサッカーボール状の球状分子。代表的な颁??は高い电子受容能やラジカル捕捉能力を持ち、エネルギー材料?医薬?ナノ材料分野で応用が期待されている。
注2)セリウム(颁别)イオン:
酸化还元反応によりラジカルを除去する能力を持つ希土类元素。颁别&蝉耻辫3;?と颁别??の间で可逆的に电子授受することで、酸化防止剤として机能する。
注3)プロトン交換膜型燃料电池(PEMFC):
高分子电解质膜を電解質として用いる燃料电池。水素を燃料、酸素を酸化剤として発電し、排出物は水のみ。自動車や家庭用コージェネレーションに利用されている。
注4)ナフィオン(狈补蹿颈辞苍):
デュポン社が開発したフッ素系高分子电解质膜。高いプロトン伝導性と化学的安定性を持ち、燃料电池の標準材料として広く使用されている。
注5)キレート:
ある分子が复数の结合部位で金属イオンを取り囲んで安定な错体を形成すること。本研究ではフラーレン诱导体が颁别イオンをキレートし、膜内に安定に保持している。
注6)フェントン试験:
过酸化水素(贬?翱?)と鉄イオン(贵别&蝉耻辫2;?)を使って强力なヒドロキシルラジカルを発生させ、材料の酸化劣化耐性を评価する试験方法。膜の耐久性评価に広く用いられる。

 

 

【论文情报】

雑誌名:Communications Materials(Nature Publishing Group)
論文タイトル:Water-soluble fullerene derivatives as radical scavengers for highly durable proton exchange membrane fuel cells
着者:Ratna Balgis (i-MI), Hibiki Ohashi (工学), Kazuhira Miwa (工学), Yoshiki Ono (工学), Shoei Suyama (理学), Takeshi Yanai (理学、滨罢产惭), Miftakhul Huda (工学), Takashi Watanabe (i-MI), Tsutomu Aoki (FC), Toshikazu Ogino (FC), Chunyan Li (FC), Masaya Kawasumi* (i-MI), Yutaka Matsuo* (工学、i-MI)
(*責任著者、下線は本学関係者、i-MI = マテリアルイノベーション研究所、工学 = 工学研究科、理学 = 理学研究科、ITbM = トランスフォーマティブ生命分子研究所、FC = FC-Cubic)
DOI: 10.1038/s43246-025-00845-9
URL:

 

 

【研究代表者】