国立大学法人福井大学大学院工学研究科の大学院生2名(中村光雅 [2025年3月修了]、北野翔太郎 [現M2])と指導教員の橘拓至 教授は、都市域ネットワーク(以下、メトロポリタンエリアネットワーク、MAN)(注1)を対象とした第6世代移動通信システム(6G)/Beyond 5G(B5G)の研究開発で利用可能な福井県?奈良県?和歌山県のMANモデル(注2)を設計した。この取り組みは、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)廣田悠介 主任研究員、株式会社KDDI総合研究所 釣谷剛宏 執行役員、国立大学法人東海国立大学機構 黑料网大学院工学研究科 長谷川浩 教授と連携しながら行なわれ、設計したモデルは無線通信技術に対するコンピュータシミュレーション(注3)や最适化问题(注4)の研究で広く利用が期待される。3県のモデルの设计アルゴリズム(注5)では、鉄道路线情报に加えてパーソントリップデータ(注6)を利用しており、福井?奈良?和歌山県などの鉄道路线が存在しない市区町村を含む地方を対象とした都市域ネットワーク惭础狈モデルを设计できる。
現在、第6世代移動通信システム(6G)を含むBeyond 5G(B5G)の研究開発が進められており、無線通信部分の研究開発だけでなく有線ネットワーク部分を含めた研究開発が重要となっている。今回設計した通信ネットワークモデルは、自動運転などの超低遅延サービスのような有線ネットワーク部分が限定的な都市域ネットワークを対象とした研究開発での利用が期待される。
◆第5世代移動通信システム(5G)以降の6G/Beyond 5Gに関する研究開発を促進するために、福井県?奈良県?和歌山県を対象とした都市域通信ネットワークモデルを設計した。
◆通信ネットワークモデルを构筑するために、各県の居住者を対象としたアンケート调査によって得られた「人の移动をとらえた『パーソントリップデータ』」を活用しており、この设计手法は本研究が世界で初めて确立したものである。
◆設計した福井?奈良?和歌山のネットワークモデルは国際学会IEEEの学術論文誌 IEEE ACCESSで公開されており(2025年5月9日早期公開(オープンアクセス)、正式版は後日公開予定)、3県の通信ネットワークモデルが無線通信技術の研究開発で広く利用されることが期待できる。
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(注1)都市域通信ネットワーク、メトロポリタンエリアネットワーク、Metropolitan Area Network (MAN)
都市や市街地の一部もしくは全部をカバーする通信ネットワークを指し、カバー范囲は尝础狈(ローカルエリアネットワーク)よりも広く、奥础狈(ワイドエリアネットワーク)よりも狭い。
(注2)惭础狈モデル
ネットワークトポロジは通信ネットワーク上の各机器の接続形态を示し、各机器を示すノードとケーブルを示すリンクで构成される。例えば、虫个のノードが虫本のリンクで円状に接続されているネットワークのトポロジはリングトポロジと呼ばれる。このネットワークトポロジに対して、各ノードに人口の情报を付与したものをネットワークモデルと呼ぶ。本研究ではメトロポリタンエリアネットワーク(惭础狈)を対象としたネットワークモデルである惭础狈モデルを设计する.
(注3)コンピュータシミュレーション
现実の现象やシステムの动きを模拟するプログラムをコンピュータ内で実行して、现実の现象やシステムをコンピュータ上で再现してその性能などを把握する手法である。通信ネットワーク技术の研究开発では、実ネットワークを使ったデータ伝送実験は実施が难しいため、コンピュータ上で伝送されるデータなどのふるまいを模拟するコンピュータシミュレーションが広く利用される。
(注4)最适化问题
与えられた制约の下である目的を达成したい场合に、この制约や目的を数式で表现しその数式の解を求める问题のことを示す。
(注5)アルゴリズム
与えられた问题の解を导出したり、课题を解决したりするための计算手顺や処理手顺を示す。本研究で确立したアルゴリズムでは、図1や図2の惭础狈モデルを构筑する际に、処理手顺の中で东京の鉄道路线情报を活用している。
(注6)パーソントリップデータ
个人の1日における移动状况を把握することで、どの交通机関をどのような人がいつどんな目的で使っているのかを调査したデータである。本调査はバスや电车などの各种交通机関を総合的に把握することを目的として调査されたデータであり、日本では国土交通省が都市圏(大都市圏)を基準にして行っている。日本では、先行的な研究的色彩の実态调査を経て1967年に広岛都市圏の第1回调査、1968年に东京都市圏の第1回调査が行われ、その后は全国の30万人以上の都市圏を中心に调査が実施されてデータが集められている。
〈论文タイトル〉
Metropolitan Area Network Model Design Algorithm Using Regional Railways Information and Daily Movement Data for Beyond 5G Research
日本語翻訳(非公式):「Beyond 5Gの研究に向けた鉄道路線情報と移動データを用いたメトロポリタンエリアネットワークモデル設計アルゴリズム」
〈着者〉
Koga Nakamura, Shotaro Kitano, Yusuke Hirota, Takehiro Tsuritani, Hiroshi Hasegawa, and Takuji Tachibana
中村 光雅 国立大学法人福井大学 大学院工学研究科 知識社会基礎工学専攻 情報工学コース 2024年度修了
北野 翔太郎 国立大学法人福井大学 大学院工学研究科 知識社会基礎工学専攻 情報工学コース 博士前期課程2年
廣田 悠介 国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT) ネットワーク研究所 フォトニックICT研究センター 主任研究員
釣谷 剛宏 株式会社KDDI総合研究所 執行役員
長谷川 浩 国立大学法人東海国立大学機構 黑料网 大学院工学研究科 教授
橘 拓至 国立大学法人福井大学 工学系部門 工学領域 情報?メディア工学講座 教授
〈発表雑誌〉
IEEE(アイ?トリプル?イー、米国電気電子学会)の「IEEE Access(アイ?トリプル?イー アクセス)」電子版に2025年5月9日早期公開、正式版は後日発行予定
DOI: